自戒も込めて。備忘録的サムシング
前提:一度で完成するとは考えない
最初から「この資料を使ってスライドを作成してください」と丸投げするのは、あまりおすすめできません。
いきなりスライドを作成させると、AIは内容よりも見栄えを優先し、無駄におしゃれな構成にしてしまうことがあります。また、一度スライド化してしまうと、文章の順序や情報量を訂正することも難しくなります。
さらに、AIは以下の内容を混同しやすい傾向があります。
実際に記録されている事実
事実に対する評価や解釈
原資料には記載されていないAIの推測
したがって、最初から完成品が一度で出来上がるとは考えず、作業工程を細かく分割することが重要です。
① 必要な情報をまとめて渡す
症例発表であれば、症例のサマリや診療録の必要部分をまとめて渡します。
論文紹介であれば、抄録だけではなく、可能な限り論文本文、図表、Supplementary Materialまで渡します。
情報が不足した状態で「内容を肉付けしてください」と依頼すると、AIがもっともらしい情報を勝手に補完してしまう可能性があります。
そのため、あらかじめ以下のように指示しておく必要があります。
原資料にない情報は追加しないでください
不明な点を推測で補わないでください
FactとAssessmentを分けてください
情報が不足している部分は「不明」としてください
AIに無駄な補完を許さないことが重要です。
② 前任者のスライドを見本として渡す
同じ抄読会や診療科で過去に使用されたスライドを渡し、その場特有の形式やお作法を学習させます。
これにより、以下のような問題を減らすことができます。
発表の慣例と異なる順番になる
必要な項目が抜ける
不要な項目が追加される
診療科のお作法に合わない表現が使われる
AIが独自に考えた謎の構成になる
目指すべきなのは、単に「一般的に良いスライド」ではありません。
「この会で実際に通用するスライド」を作成させることが重要です。
③ 見本に合わせて、まず地の文を作成させる
前任者のスライド構成を参考にしながら、今回の症例や論文の内容を文章として並べさせます。
この段階では、まだPowerPointを作成させません。
まずは文章の状態で、以下の点を確認します。
情報が正確か
原資料にない補完が行われていないか
FactとAssessmentが分けられているか
発表の流れが適切か
必要な情報が不足していないか
同じ内容が重複していないか
文章の段階であれば、情報の追加、削除、修正、並べ替えを比較的簡単に行うことができます。
スライドを作成してから内容を直すのではなく、文章の段階で内容を完成させることが重要です。
④ 内容を訂正しながら、スライド割を決める
地の文を確認し、誤りや不足している部分を一つずつ指摘します。
同時に、どの内容を何枚目のスライドに載せるかをある程度は決めていきます。
例えば、以下のように具体的に指定します。
主訴と現病歴は同じスライドにしてください
一般身体所見と神経学的所見は別のスライドにしてください
検査結果は血液検査と画像検査に分けてください
入院後経過は時系列表にしてください
論文の方法、結果、考察はそれぞれ別のスライドにしてください
AIにスライド割をすべて任せると、一枚に情報を詰め込みすぎたり、反対に内容を不自然に細分化したりすることがあります。
スライド全体の流れを見ながら、こちらが主導して分割する必要があります。
⑤ 使用する画像と配置を具体的に指示する
地の文とスライド割が固まったら、こちらが持っている画像やスクリーンショットの使い方を指定します。
使用するスライドだけでなく、位置、大きさ、トリミング範囲まで具体的に伝えます。
例えば、以下のように指示します。
3枚目に入院時の胸部CTを配置してください
CT画像はスライドの右半分を使用してください
心電図はV4~V6のみを切り出してください
比較する画像は同じ大きさにしてください
波形の高さと時間軸をそろえてください
経過表はスライド幅の約3分の2にしてください
この画像は一枚のスライド全体を使って提示してください
「画像をいい感じに配置してください」といった曖昧な指示では、意図した配置にならないことが多くあります。
特に比較画像では、単に縦横比をそろえるだけでは不十分です。表示倍率、画像の大きさ、基準となる位置などもそろえなければ、見比べにくくなります。
そのため、どの画像を、どの位置に、どの程度の大きさで載せるのかを具体的に指定する必要があります。
⑥ 内容が固まってから、白黒でスライドを作成させる
文章、スライド構成、画像配置が確定してから、初めてPowerPointを作成させます。
最初の段階では、以下のような単純な形式で十分です。
白背景
黒文字
装飾なし
アニメーションなし
フォントを統一
タイトルと本文の階層のみを設定
この段階でデザインまで要求すると、内容の修正とデザインの修正が混在し、訂正が難しくなります。
まずは、情報が正確であり、発表に使用できる状態にすることを優先します。
内容が完成するまでは、無駄におしゃれにさせないことが重要です。
⑦ 文字サイズと配置を自分で微調整する
AIが作成したスライドは、文字量を詰め込みすぎてフォントが小さくなる傾向があります。
そのため、完成後はPowerPoint上で全体を確認し、必要に応じて以下を調整します。
フォントサイズ
行間
テキストボックスの幅
余白
画像の位置
改行位置
一枚当たりの情報量
必要であれば、スライド内のオブジェクトをすべて選択し、まとめて拡大または縮小して全体のバランスを整えます。
細かな文字サイズや配置については、現状では自分で調整したほうが早い場合も多いです。
AIだけですべてを完成させようとせず、最後の数%は人間が調整するものと考えておくのがよいと思います。
⑧ 必要であれば、最後にデザインを整えさせる
内容と配置が完成した後、必要であれば、そのスライドを再度AIに渡してデザインだけを改善させます。
この際は、変更してよい範囲を明確に限定します。
例えば、以下のように指示します。
文章の内容は変更しないでください
スライドの順番は変更しないでください
画像は差し替えないでください
新しい情報は追加しないでください
フォント、余白、配置、配色のみを整えてください
内容が完成する前にデザインを変更させると、再修正が必要になった際に作業が複雑になります。
そのため、デザインの調整は必ず最後に行います。
また、医学系の発表では、無理に装飾するよりも、白背景で視認性が高いことのほうが重要な場合もあります。
デザインの改善は必須ではなく、あくまでも任意の最終工程です。
全体の流れ
AIにスライドを作成させる際は、以下の順番で進めます。
必要な情報を渡す
→ 前任者の見本を渡す
→ 地の文を作成させる
→ 内容を訂正する
→ スライド割を決める
→ 画像の配置を指定する
→ 白黒でスライドを作成させる
→ 自分で微調整する
→ 必要であればデザインを整える
AIは、完成品を一度で出力させるための道具ではありません。
作業を適切な工程に分割し、それぞれを分担させるための道具として使用することが重要です。
後書き
これは、抄読会や症例発表のスライド作成に限った話ではありません。
一度指示して思いどおりのものが出てこなかっただけで、「AIは○○には向いていません」「結局、AIは使えません」と評価される方は少なくありません。
しかし、AIは完成品を一度で出力させるものではありません。
最終的な完成形から逆算し、作業を適切な単位に分割すれば、多くの場合、人間が最初からすべて手作業するよりも圧倒的に速く進められます。
うまく活用できない原因は、AIの性能そのものというよりも、作業全体の工程を見通せていないか、工程を分割して指示すること自体を面倒に感じているかのどちらかではないでしょうか。
そもそも、こちらが行う作業は、基本的にはプロンプトを入力し、出力された内容を確認し、修正点を伝えることです。
AIが出力している間は、コーヒーでも飲んでいればよいのです。
一度で完成しなかったことを理由に諦めるのではなく、完成までに必要な工程そのものをAIに分担させるべきです。
というか、まず、作業の分け方自体をAIに聞いてもよいです
自分で作業工程をうまく分解できない場合は、その分解自体を最初にAIへ依頼しても構いません。
例えば、
「この作業を最短で正確に完成させるには、どのような工程に分割すべきですか。各工程で、私が渡すべき資料、AIに任せる作業、人間が確認すべき点を示してください。まだ作業自体は開始せず、まず工程表だけ提示してください」
と聞けばよいです。
AIを使うために、人間が最初から完璧な工程表を作れる必要はありません。
全体の目的を伝えたうえで、進め方の案をAIに出させ、その案を人間が確認して修正すれば十分です。
作業の実行だけでなく、作業の分解や進行管理にもAIを使った方が、結果的に速く進むことも多々あります。
その程度の手間まで惜しんで、「AIは使えません」と結論づけるのは、少々怠惰過ぎる…と思います(真顔)
この記事も9割aiが書いてます。






















































